Urolift

新たな前立腺肥大症の低侵襲治療

UroLiftは米国のテレフレックス社が開発した経尿道的前立腺吊上術を行うための機器で、この治療法は欧米の泌尿器科学会の前立腺肥大症の治療方法として推奨されているものです。日本では臨床データ収集のための条件的承認ではありますが、世界では2022年12月までに40万人以上の男性がこの機器を使った治療を受けています。

 UroLift(経尿道的前立腺吊り上げ術)とは

外尿道口からデリバリーハンドルという装置を使って、細い管状のデリバリーデバイスを挿入し、前立腺の中にインプラントを差し込んで狭窄部分を拡張し、尿の通り道を確保する治療法です。切開、加熱等によって組織を傷めることがありませんので、極めて低侵襲でありながら高い効果を得ることができます。また性機能への影響はありません。

デリバリーハンドル

デリバリーデバイス患部まで挿入するための、グリップのついたハンドルのような装置です。デリバリーデバイスの中にはインプラントのカートリッジが挿入されており、先端にはニードルが付いていて、前立腺内にインプラントを送り出します。

インプラント

インプラントは、前立腺皮膜部と尿道側双方にストッパーをもつ医療用の縫合糸で尿道側にステンレス製のストッパー、前立腺皮膜側にはニチノール(ニッケルとチタンの合金)製のタブがついています。このインプラントで左右の前立腺を結紮し尿道を拡張します。一人の患者様に4~6個のインプラントを留置します。(最大10箇所まで)

UroLiftの特徴

UroLift治療は、治療効果が速やかで合併症の少ない治療です。

など

治療の流れ

当院での手術前のご注意

  • 手術前に抗生剤内服を忘れないで下さい。
  • 抗血小板剤、抗凝固剤(血液サラサラ)のお薬を飲んでいる方は申し出てください。
  • 遠方からの患者様は、近隣のホテルへの1泊宿泊をお願いする場合があります。
  • 手術当日は、付き添いの方と受診してください。

※諸注意をお守り頂けない場合は、患者様の安全を考慮して手術中止となる場合があります。

前立腺肥大症低侵襲手術(ウロリフト・レジウム)

  • 問診、各症状スコアアンケート等
  • 排尿力ドック(今後の排尿障害治療のための体の状態を調べます)
    ・尿流量測定+残尿測定
    ・ホルモン採血
    ・超音波検査等
  • 感染症検査(手術に向けて感染症の有無を調べ抗生剤の投与種類などを把握します。)
    ・感染症採血
    ・尿培養検査
  • 排尿機能検査(手術に必要な前立腺内部の形態や麻酔方法などを選択します。)
    ・内視鏡
    ・膀胱内圧測定

手術当日の流れ

受診

体温測定・血圧測定などのバイタル測定検査をします。
※血圧の異常高値や37度以上の発熱がある方は中止になる場合があります。

術前処置

  • 尿道の局所麻酔
  • 前立腺ブロック等の局所麻酔
  • 20分前後の安静

手術

  • 内視鏡による手術開始
  • 所要時間5分から10分

術後

  • カテーテル留置の場合:術後10分程度お休み頂き帰宅
  • カテーテル留置の無い場合:術後10分程度お休み頂き、排尿後の残尿測定を行い帰宅

※術後のカテーテル留置の有無は、術式・術中所見により変わります。

ウロリフトの流れ

尿道に麻酔薬の入ったゼリーを注入して局所麻酔を行います。
外尿道口からデリバリーデバイスを挿入しいったん膀胱内に到達させた後、標的部位まで少し引き戻します。
先端からニードルを出し、インプラントを前立腺皮膜と尿道側にかけ前立腺葉を圧迫するように圧搾します。
左右の前立腺葉に4~6本のインプラントを留置して治療は完了です。

以上によって前立腺肥大によって塞がれていた尿道が開き、尿流が回復します。

Uroliftの合併症

尿道の痛み・違和感

尿道に痛みが生じたり違和感を覚えたりすることがあります。鎮痛薬などを処方しますが、2~3日で症状は治まります。

尿路感染症

稀ですが、細菌感染によって前立腺炎や膀胱炎が起こることがあります。もし発症した場合は抗菌薬などを処方します。

肉眼的血尿

少量ですが血尿が出ることがあります。症状は数日で改善します。

血尿

尿失禁

術後軽度の刺激により軽度の尿失禁が起こることがありますが、一過性のものです。UroLiftでは尿道括約筋を傷つけることがありませんので、ほとんどのケースではすぐに解消します。

尿失禁

結石付着

5年後の観察では概ね経過は良好ですが、長期間経過した場合、インプラントに結石が付着する可能性があります。その場合、結石の除去治療を行うかインプラントを除去することを検討します。

排尿困難

治療後も排尿困難が続き、うまく排尿ができない場合があります。その場合は尿道カテーテルの再挿入となります。

なぜ前立腺肥大症の日帰り手術?

前立腺肥大症では、尿の勢いが悪くなった・尿が漏れる・何度もトイレに行く(頻尿)・残尿感といった排尿症状を生じることがあります。
当院では、排尿(おしっこ)のトラブルでお悩みの方々・生活に不安や支障をもたらしている方々に尿トラブルを改善することでより快適な生活を送ってほしいと考えています。
尿トラブルのひとつの原因が前立腺肥大症です。
前立腺肥大症による上記のような尿トラブル(排尿障害)を改善する方法として、手術という選択肢があります。
当院では、国内外で経験と技術を積んだ医師が日帰り手術を行っています。
左動画は、HoLEPという前立腺手術後の排尿を示したものですが、このように手術を行うことでスムーズな排尿が可能になります。
また、右動画はRezumといった前立腺肥大症の日帰り手術を行っている状態で、前立腺の中に均一にまんべんなく水蒸気が広がっていく様子を示しています。
前立腺肥大症の日帰り手術と言っても様々なものがあります。まずはお気軽にご相談ください。

rezum(レジウム)

前立腺肥大症の3つの手術

前立腺肥大症の日帰り手術には、UroLift(ウロリフト)・Rezum(レジウム)・HoLEPと呼ばれる3種類があります。
従来からHoLEPの有効性が示されてきましたが、近年RezumやUroLiftにおいてもその有効性(成績)が示されるようになってきました。
ここでは、下記3つの観点から治療成績(短期的・長期的)を説明していきます。

排尿スコアで比較する

  UroLift Rezum HoLEP
ベースライン 22 22 28
3か月後 -11 -11 ‐21
12か月後(1年後) -10 -12 ‐21
5年後 -8 -11 ‐18

排尿スコアで見ると、短期的にはHoLEPとUroLift、Rezumに差があります。しかし、長期的(5年)で見ると、その差は小さくなり、UroLiftやRezumでも一定して良好な成績(排尿スコア)があることがわかります。

QOLから見る満足度で比較する

  UroLift Rezum HoLEP
ベースライン 4-5 4.4 4.8
3か月後 -2.5 -2.1 -3.0
12か月後(1年後) -2.5 -2.1 -3.3
5年後 -2.1 -2.2 -3.3

QOL(満足度)で見ても、短期的にはHoLEPとUroLift、Rezumに差があります。しかし、長期的(5年)で見ると、その差は小さくなり、UroLiftやRezumでも一定して良好な成績(QOL)があることがわかります。
※0~6で評価しており、0に近いほど満足度が高いことを示しています。

合併症から見る満足度で比較する

  UroLift Rezum HoLEP
腹圧性尿失禁 - - 1.3~44%(3か月後)
1%(1年以上経った場合)
切迫性尿失禁 3% 5.9% 44%
排尿障害 9% 16.9% 59%
尿閉(尿が出ない) <0.01% - 0.5~8.1%
輸血 - - 1.6%

合併症から見ると、HoLEPでは一定数尿失禁や排尿障害といった尿トラブルが生じるのに対して、UroLiftやRezumは合併症が低い(起こりにくい)といった特徴があります。

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