排尿障害の症状
多尿
通常、日本人の1日の尿量は個人差がありますが1.5L程度が適正とされています。しかしこれを大きく超えて2.5~3Lを超えるほどの量の尿が1日に排泄される場合、多尿と言います。日中の多尿、夜間の多尿、24時間の多尿があり、糖尿病、尿崩症などの原因疾患によるものの他、心理的な原因も考えられます。また、加齢によるサーカディアンリズムの変化(ホルモンの日内変動のリズムの変化)やテストステロン(男性ホルモン)値の変化なども関連があることが知られています。
当院では、こうした、生活習慣病や加齢によるサーカディアンリズムの変調による多尿に注目して排尿力ドック検診やホルモンバランスの調整の治療に力を入れています。
頻尿
排尿回数は人によって様々ですが、一般的に起きている間の排尿回数が8回以上ある場合、頻尿と定義されます。また就寝時に尿意で目が覚めてしまう回数が1回以上にわたる場合は治療が必要な夜間頻尿と定義されます。原因は加齢や何らかの疾患による場合が多いのですが昼間の頻尿と夜間頻尿は別のメカニズムによって発症することが多いと考えられています。
尿失禁
自分の意思に反して尿が漏れてしまうのが尿失禁です。尿失禁には荷物を持つ、くしゃみをするなど腹圧がかかることで起こる腹圧性尿失禁や、何らかのきっかけで急に激しい尿意が起こり、トイレに入るまでに間に合わない切迫性尿失禁、排尿に障害があり膀胱に溜まっても尿が出せないにも関わらず溜まった尿が膀胱から少しずつ漏れ出してしまう溢流性(いつりゅうせい)尿失禁、排尿機能には問題が無いのに運動機能の障害などによってトイレに行って排尿することができない機能性尿失禁などの分類があり、これらが1つだけではなく合併して起こります。それぞれの原因にあわせた治療法がありますので、まずはご相談ください。
尿閉
尿は正常に作られているのに、膀胱や尿道に問題があって排尿できなくなった状態が尿閉です。前立腺肥大症などによる物理的な原因の他に、脳や神経の障害による神経的な機能障害なども原因となります。放置すると上部尿路内圧が上昇し腎不全に陥る場合があります。 また、排尿困難を生じるような薬剤の多剤併用により徐々に残尿が増大し慢性尿閉や腎不全になることもあります。排尿困難に気づかず、尿失禁のみ訴えることもあるので注意が必要です。
乏尿、無尿
人間は体内の不要になった老廃物を尿として毎日一定量以上を排泄する必要があります。何らかの原因で、排尿量がこの毎日の必要量を下回ってしまった状態が乏尿・無尿です。尿量が1日400mL未満になると乏尿、さらに1日100mL未満になると無尿と言います。脱水、腎機能障害、尿道や膀胱の異常などが原因となります。
残尿感
排尿をした後、まだ尿が残っているような、出きっていないような不快な感覚があるのが残尿感です。実際に尿が出きっていないケースと、出きっているのに残尿感があるケースがあります。前者は前立腺肥大症など尿道を通過しにくくなることや膀胱の収縮障害、後者は知覚過敏などが原因となります。
排尿障害の検査
尿検査
尿にたんぱくや糖が出ていないか、炎症を起こしていないか、潜血がないかなどの一般的な検査の他、膀胱がんの疑いがある場合は尿中にがん細胞が含まれていないかも検査します。
尿流量検査
排尿障害や蓄尿障害がある場合、実際の勢いや出し切るまでの時間といった尿の出方を調べるために、測定装置のついた専用のトイレを使って尿流量検査を行います。普通のトイレと同じような感覚で検査を行うことができ、またまったく侵襲のない検査です。同時に残尿検査を行うケースが一般的です。
超音波検査
超音波を使って、腎臓・膀胱や前立腺の形態などに異常がないかを見る検査です。男性の場合は、前立腺肥大症の確認のために前立腺の状態を超音波で確認します。また排出障害などの場合には、残尿をチェックするために、排尿直後に超音波検査を行います。
尿流動態検査
膀胱の蓄尿機能と排尿機能、尿道の閉塞の度合いなどを調べるため、専用の検査室で座っていただき、外尿道口と肛門にカテーテルを挿入し、膀胱に適切な量の生理食塩水を注入して、膀胱が一杯になった時の膀胱や直腸の内圧、排尿のための筋肉の圧力、尿流などを計測します。多くの有用な情報を得ることができます。