水分を摂りすぎるのは、「高齢者はできるだけたくさん水分を摂ったほうがいい」「夜、寝る前に水分をたくさん摂ると、血液がサラサラになり、寝ている間の脳梗塞や心筋梗塞を予防できる」などの情報が、メディアで盛んに流れたのが一因だと思います。
その背景には医療関係者の多くも、水分をたくさん摂ると血液がサラサラになると誤解してきた事実があります。
しかし、医学的には「水分をたくさん摂ると血液がふつう以上にサラサラになる」とか、「寝る前に水分をたくさん摂ることで、夜間や早朝の脳梗塞や心筋梗塞などを予防できる」とは今のところ証明されてません。
もちろん、体にとって水分は大事です。水分摂取量が減って脱水症状になると、熱中症を引き起こしたり、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが高まったりする可能性があります。特に、体内の水分量が体重の50%と少なめの高齢の方は、摂りすぎも注意ですが、摂らないのも問題です。
例えば、体から必要とされる水分量の1%が失われると、イライラしたり、ボーっとしたりするなどの意識障害がおこります。体重60Kgの50%は30Lですから、その1%は300mlです。それくらいの脱水で症状が現れるようになります。2~3%失われると体温が上昇し、循環器にも影響がでてきます。いわゆる熱中症の症状です。そして、5%失われると運動機能が低下して動けなくなり、7%失われると幻覚を見るようになります。私たちの体は水分を20%失うと死に至るといわれています。
脱水にならないように、朝から夕食まではしっかりと水分を摂り、寝る前は飲水制限をする。これがメリハリのある正しい水の飲み方です。あえて寝る前に水をたくさん飲まなくても、健康な毎日が送れます。