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塩分を摂ると尿が増えると思っていませんか?

塩・食卓塩のイラスト

 

塩辛いものを食べると、のどが渇いて水分を摂りたくなります。摂取する水分量が増えると尿量も増えます。特に、寝る前に大量に摂ると夜間多尿につながることもあります。このことから、夜間頻尿を遠ざけるために塩分を控えたほうがいいと思っている方が多いようです。

長崎大学病院泌尿器科・腎移植外科の松尾朋博助教らの研究によると、塩分の摂取量が増えると、特に夜間の排尿回数や量が増えたという報告がありました。

研究では、高塩分グループ(平均11・4g)と低塩分グループ(7・3g)という

2つのグループに分け、夜間頻尿との関係を調べました。ちなみに、厚生労働省による1日の塩分摂取量の目安は、男性8g、女性7gです。

結果、高塩分グループのほうが排尿回数も量も昼夜問わず多く、1日の総尿量に占める夜間尿量の割合も高かったといいます。また、この研究では、塩分量を減らすと、夜中のトイレの回数が2・3回から1・4回と約4割減ったという報告もあります。

ただし、高塩分グループの摂取量を見るとわかるように、これは塩分の摂り過ぎによる現象です。低塩分グループの摂取量は、厚生労働省が推奨する摂取量の目安とほぼ同量のため、摂り過ぎなければよいと判断することもできます。

そもそも、塩分を摂ったからといって尿が増えるわけではありません。

なぜなら、人間の体は、体内の塩分量が多くなると、腎臓からバソプレシンが分泌されてナトリウムだけを排出するからです。私たちの体には一定の水分を保持するシステムが備わっているのです。

逆に塩分を控えたほうがいいと勘違いして、減塩のやり過ぎは要注意です。塩分を控え過ぎて「低ナトリウム血症」と診断されると、夜間頻尿の治療として行われるバソプレシンの補充ができなくなります。バソプレシンが補充されると体内のナトリウム濃度が薄まるため、すでに濃度が薄い状態の低ナトリウム血症では、効くのはわかっていても使えないのです。つまり、塩分は摂り過ぎても、控え過ぎても、夜間頻尿にはよくないと覚えておいてください。

 

院長が執筆した本に詳細が書かれています。ご興味がある方はこちらから!

 

#夜間頻尿 #夜間多尿

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