先日開催された第16回泌尿器抗加齢医学研究会において、当院院長・斎藤恵介医師が「スターフォーマーを使ったED治療」というテーマで講演を行いました。
(以下抄録)
加齢による変化として、排尿障害は最も多い症状の一つである。排尿障害治療は、前立腺肥大症、過活動膀胱、神経因性膀胱など疾患に対する治療や手術は数多く存在するが、加齢の変化を基に排尿障害治療を行う考え方は確立していない。
実臨床においては、更年期障害やサーカディアンリズムの変調、加齢によるサルコペニア、フレイルなど、多岐に渡る身体的な変化をもって受診される。今までの、排尿障害の疾患概念治療だけでは対応しきれない個々の加齢の変化を考慮した治療が必要となってきている。例えば、夜間多尿を改善するには、夜間の呼吸状態、早朝血圧、心機能やサーカディアソリズムによるバンプレッシン分泌変化など、多岐に渡る診断が必要となり、特に、バンプレッシン分泌とテストステロンは関連が示唆されて来ている。睡眠の質の低下は体の虚弱にも関係することが分かっており、排尿障害を入り口に受診された患者においても、加齢による身体変化や更年期障害から生じる諸問題を抱える場合が多くある。テストステロンの低下は、筋肉量低下や骨代謝回転低下のみならず、糖代謝や脂質代謝、循環血液量、やる気や集中力の低下にもつながり、加齢のバイオマーカーとしての役割も提唱されてきている。これらの変化を排尿障害の治療により改善をもたらすことが出来る可能性がある。また、更年期障害の症状の一つとしての睡眠時無呼吸症候群やEDや毛髪の問題を抱える患者も多く存在し、泌尿器科においても夜間頻尿と関連する睡眠時無呼吸症候群の諸検査が必要となる。EDにおいても、心不全や糖尿病など全身疾患のバイオマーカーとも言われており、陰茎局所治療に留まらず、勃起のメカニズムに関連する仙骨神経や陰部神経や骨盤内血流の改善も考慮した集学的な治療が必要となる。我々は、夜間の睡眠環境や呼吸環境を解析し、また、集学的なED治療として、高強度磁気治療を用いたED治療方法の開発と血管拡張薬・テストステロン補充療法を用いた集学的治療を行っている。さらに、AGA治療によりテストステロンレベルを下げて抜け毛を予防する治療が主流のなか、抗加齢の観点から、加齢による諸症状改善に必要なテストステロン低下を来さないインティマレーザーと再生医療を融合した低侵襲毛髪治療を検討している。また、排尿障害の一環として、サルコペニア・フレイルの予防や改善を目的としたテストステロン投与と高強度高周波磁気治療(スターフォーマーPROTm)を用いた下肢筋力、インナーマッスルの身体改善を同時に行う排尿障害治療戦略を提供している。