服着たまま
皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。秋晴れの日が多くて、どこか旅行にでも行きたくなりますね。でも、我々シニアはトイレが近いでしょ。
観光地では、まずトイレ探し。出したはいいけど残尿感があって、トイレを出たところでジワッと尿漏れなんてことも。今日は、そんな尿漏れ治療の最新機器についてです。泌尿器・日帰り手術クリニックuMIST東京代官山の院長で、順天堂大学医学部附属順天堂医院・泌尿器科の准教授、斎藤恵介先生に教えていただきます。
斎藤先生、まず尿痛れの原因についてうかがいたいんですが。「尿漏れ、尿失禁は主に4つに分けられます。筋肉の緩みで起きる腹圧性尿失禁、我慢しきれずに出てしまう切迫性尿失禁、脳卒中や脊髄損傷など神経の異常が要因で漏れる溢流(いつりゅう)性尿失禁、排尿機能は正常でも認知症などでトイレ以外で漏らしてしまう機能性尿失禁です」
おしっこを終えてから、パンツにジュワッとしみ出してしまうこともあります。
「尿道の長さは、男性は約25cm、女性は約4cm。男性には長いホースが付いているわけです。そこに水が残っていれば庭のホースと同じで溺れるので、最後よく振ることが大事です。切れが悪くなるのは、加齢で膀胱を支える骨盤底筋が緩んでくることも原因です」
その骨盤底筋を鍛える器具があるんですね。
「スターフォーマーという高周波磁気装置です。磁気の作用で、30分間で5万回の筋収縮効果が望めます。骨盤底筋を収縮させ、鍛えるのです」おなかに巻いて腹筋を鍛えるマシンと同じですか?
腹部に巻くのは、ほとんどが電気で表面の筋肉を収縮させるものです。スターフォーマーは電気ではなく高周波の磁気。磁場ができて、体内10cmほどまで伝わります。医療でよく使われるMRIも、磁場を使って体内を安全に撮影しています」
スターフォーマーを使った治療はどのようなものですか?
「安全な磁場を使い筋肉の収縮を起こす治療器具です。椅子の形をしているので、患者さんは座るだけでいいんです。服も着たままで問題ありません。磁気なので、金属製のものは外す必要があります。残念ながら、ペースメーカーを埋めている方は使えません。1回の治療は30分。座面と背面の2カ所から出る磁気が骨盤底筋を収縮させます。1回30分を、日を置いて8回やって尿溺れが改善したというエビデンスがあります」
保険適用外
病院に行ったままの格好で、30分座っているだけでいいんですか?体に何か貼ったりもなし?スターフォーマーは楽に治療ができるんですね。
「腹筋を鍛えたり、お尻のシェイプアップをすることも可能。スターフォーマーは多様なモードを搭載しているので、骨盤底筋の治療以外のニーズにも応えられます。脚が弱って、杖を突いて来院した89歳の女性が、治療後、杖を使わずに歩いて帰っていったケースもありました」
高齢化社会の強い味方ですね。
「実は、ED(勃起不全)の改善にも効果が期待できます。EDは加齢で勃起神経が退化することも原因の一つ。その勃起神経を磁気で刺澈。座面、背面からだけでなく、アプリケーターと言われる手持ちの器具を陰茎の部分に当てる治療をすることもあります。70代半ばの男性から“先生、朝立ちするんですよ。もう高校生並み”と喜ばれたこともあります」
薬を飲む必要がないED治療とは。興味のあるお父さん方も多いんじゃないですか。尿漏れにも、EDにも効果が期待できて、斎藤先生は「便失禁の治療にも使える」とおっしゃってました。現在は保険適用外なので自費治療になりますが、スターフォーマーを導入しているクリニックは増えているそうです。
あの、いや〜な尿痛れが30分座っているだけで改善されるというんですから。この最新機器の恩恵にあずかってみてもいいんじゃないですか。