在宅排尿障害外来 サルコペニア・フレイル・在宅医療管理

在宅排尿障害外来とは

在宅医療環境では、寝たきりで病院への入院や通院が難しい方が多くいらっしゃいます。私が、在宅医療を11年経験してきた中では、全身疾患の管理に終始し排尿管理がおろそかになっていることも多くみられます。こうした患者様に治療の門戸を開くことも大切だと考えています。

フレイルとは

フレイルとは、加齢とともに身体能力や精神機能が低下し、要介護となる前段階の状態にあることで、かつては虚弱状態と呼ばれていました。
そのまま放置すれば要介護の状態になってしまいますが、早めに気づいて、適切な対策をとることで元の健康な状態に戻れるという気づきと対策の大切さを広めるために、日本老年医学会が英語の「frailty」からフレイルという概念を提唱しました。

サルコペニアとは

サルコペニアとは、加齢に従って、全身の筋肉の量や質がだんだん低下していく状態をあらわす言葉です。個人差はありますが、筋肉は30歳代をピークに40歳を超えるころからだんだんと低下しはじめ、70歳を超える頃には、はっきりとそのことを自覚するようになります。それによって歩くのが遅くなる、立ち上がるのが辛いなど活動能力が低下するだけではなく、様々な疾患に対抗する能力も低下していき、重症化につながるとされています。
加齢に伴う筋肉の劣化は自然なことですが、適切な運動を行うことによってピークの頃と同等とまではいかなくても、筋肉の量を増やしたり質を高めたりすることも可能です。

排尿障害とサルコペニア

夜間頻尿による睡眠障害により、筋肉量や免疫能力が低下することが分かっています。
夜間に、男性ホルモン(テストステロン)やコルチゾール、成長ホルモン、IGF-1などの筋肉合成や免疫力をつかさどるホルモンの分泌が促されることが分かっています。しかしながら、排尿障害による睡眠障害から、夜間分泌されるべき大切なホルモンの分泌が落ち、筋肉量の低下を引き起こし、前述したサルコペニア(虚弱)の状態が進行していきます。
筋肉の質・量の低下は排泄にも大きく関わります。腹腔を取り巻く腹筋、横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群などが緩んでしまうことによって、内臓は重力に逆らえず、だんだん下がってしまいます。これによって骨盤の底部にある膀胱や直腸が圧迫され、便秘や排尿障害を起こすことになります。排尿障害が起こると、外出などもおっくうになり、さらにサルコペニアが悪化するという悪循環を招きかねません。

当院の在宅排尿障害の特徴

当院では、サルコペニア・フレイルの診断を体組成計(インボディー)、血管脈波、骨密度測定、ホルモン値測定などで行います。また、男性では、前立腺肥大症に対して、日帰り手術であるUroliftRezum治療を行います。麻酔も局所麻酔で5分~10分程度の治療で行うことが可能です。今まで入院しないと治療が出来なかった前立腺肥大症治療が簡便に日帰りで行えることは、多くの併存疾患を持った患者様へは福音だと考えています。より低侵襲に安全で簡便に行える治療を受けて頂けるかぜひ当院でご検討ください。
また、女性の頻尿尿失禁でお困りの方も、レーザー治療高周波磁気治療、薬物治療等で夜間頻尿の改善を目指しています。

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